石垣島の史跡案内 桃林寺

こんにちは、Fuyuです。先日「冨崎観音堂」にうかがったご縁で、石垣の市街地にある桃林寺にお参りしました。こちらは「冨崎観音堂」に次いで、島で2番目に初詣客でにぎわうところです。石垣島の定番観光地の一つで、定期観光バスのルートにも入っています。

石垣港の離島ターミナルから、歩いてうかがいました。所要約5分です。市立の博物館とか蔵元跡とかからは同様に歩いて5分ほどの距離です。私がお参りにうかがった間、ずっとお参りの人が尽きることがありませんでした。お寺の前の駐車場にちょっと車を止めて、さっとお参りするっていう人が多いようです。

外から見た様子では「桃林寺」とお隣の「権現堂」とは一体のものに見えますが、それぞれ「お寺」と「神社」で、別の施設のようです。ここでは、一緒に扱わせていただきます。

桃林寺

八重山諸島で最古の仏教寺院です。表に、山門があり、石垣島独特の琉球石灰岩の堂々とした石垣で囲われています。内地の者から見れば、中国風とも見えます。境内正面に本堂、右側に鐘楼があります。ともに赤瓦葺きです。道路沿いの山門は、大きくはありませんが、その山門入り口両脇に木造仁王像の立像があります。これは沖縄県最古の木彫像です。県指定有形文化財になっています。太い格子の奥なので、のぞき込まないと見えませんが、中に仁王様が立っておられます。なんと、明和の大津波で流されたにもかかわらず、崎枝湾の海岸に流れ着き、手足を修復してのち再び山門に戻られたという強運の仁王様です。素朴で力強いなお姿をぜひ見ていってください。

本堂は赤瓦葺きながら、思いのほか内地のお寺と共通した感じを受けます。普通に地域に溶け込んだお寺って感じがしています。本堂には、お守りとおみくじがあります。おみくじは独特のものですので、おみくじ好きのかたはお楽しみに。私は交通安全の車用ステッカーをいただいてきました。(もちろん有料です) お坊さんはいらっしゃったのですが、外から帰ってこられるとすぐまたお出かけで、声をおかけすることは出来ませんでした。

権現堂

「桃林寺」と「権現堂」は道沿いに並んでというよりは一体であるように見えるのですが、内部では両者の間に石積みの塀があって分けられています。「権現堂」の所有者は「市」であると表示がありました。こちらもきれいに管理されていますが、私が訪ねた間には、ほかに参拝客はいませんでした。

桃林寺・権現堂のデータ

1614年(慶長19年)薩摩藩の検地の際、八重山には社寺仏閣が一つも無かったため、薩摩藩が尚寧王に進言し、「桃林寺」と「権現堂」が建立されました。「桃林寺」は、開山当初は真言宗だったけれど、今は臨済宗妙心寺派です。山号は「南海山」、円覚寺の末寺です。禅宗寺院ですね。1771年の明和の大津波で倒壊するなど、自然災害や戦災のため、桃林寺と権現堂は何回も再建を繰り返されています。最初は双方ともに茅葺でしたが、1700年前後にともに瓦葺とされます。現在の桃林寺の本堂は1968年(昭和43年)の改築によるものです。

 

お隣の「権現堂」も桃林寺と同時の建立です。神殿は1786年の再建ののち直近では1985年(昭和60年)の拝殿の解体修理と神殿の部分修理が行われています。国の重要文化財です。内地の神殿建築と同じ三間社流造の瓦葺ですが、屋根の上には中国の寺院のように宝珠と龍が棟に乗っており、独特の雰囲気が漂います。戦災でたくさんの伝統建築を失った沖縄としては、ここが唯一の神社建築の遺構です。ご神体の銅鏡は大津波の翌年の琉球製で、県内最古のものです。祭神は熊野権現(伊弉冉尊・速玉男尊・事解男尊)の三柱です。那覇の「波の上宮」と同じですね。

アクセス

お寺の向かいに数台分の駐車場があります。

最寄りのバス停はバスターミナルです。

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