こんにちは、Ananasです。
世界中を混乱の渦に巻き込んでいる“新型コロナウィルス”。
もちろん、石垣島も例外ではなく、島の中では“いつもと違う”ことだらけの夏を迎えています。
観光客さんは少ないし、イベントも軒並み中止・・・少し静かな夏です。
でも、そんな時だからこそ見えてくる島の素顔をご紹介します。
ハーリー 〜海神祭〜
ハーリー、って聞いたことありますか?
毎年旧暦の5月4日に行われる伝統行事で、島の漁業関係者、いわゆる“海人(うみんちゅ)”が
1年の航海安全や豊漁を祈願するためにハーリー船と呼ばれる伝統木舟で競漕します。
発祥は沖縄本島ですが、石垣島でも明治時代から行われています。
毎年、梅雨明け間近の青空の下、銅鑼の音と共に海を切り裂くように競い合う勇ましいレースは迫力満点。
近年は一般の人も参加できるプログラムが作られたり、それを見に訪れる観光客も増えるなど、誰もが楽しみにする島の名物イベントとなっており、今年は6月24日の開催が予定されていました。
新型コロナの影響で中止決定・・・
しかしながら、今年はやはり新型コロナ感染拡大防止のために中止・・・
たくさんの人が集まることが予想される大イベントですもんね、仕方ありません。
ただ、これまでハーリーが中止になったのは戦時中の1度きりだったということなので、関係者の方々にとっては大変な決断だったようです。
でも、私は見てしまいました。
大会が予定されていた日の前日、例年ハーリーの会場となっている漁港で懸命にハーリー船の漕ぎ方を練習している方々の姿を。
ハーリー大会はないはずなのにどうして・・・?
お話を聞いてみました。
海人の心をつなぐもの
練習に参加していた、石垣島のマグロ漁師であるMさんのお話によれば、
ハーリーはよく「航海安全や豊漁を祈願する」行事だと説明されますが、実はそれだけでなく「海の命への供養と感謝の気持ちを伝える」という大事な真髄があるのだそうです。
だから、たくさんの人が集まる競漕イベントがなくなっても、海人である彼らの祈りだけはやらないわけにはいかないと、今年も祈りに必要な儀式だけは海人のみで行うことを決め、この日は最後の準備をしていたとのことでした。
海人さんは、海の命をいただいて、自分や私たちの命をつなぐ仕事をしているのです。
加えて、普段はそれぞれの船に乗って漁をしているMさんたちが“同じ舟に乗る”という機会も、
毎年のこのハーリーの時だけ。
年に1回同じ舟に乗り息を合わせて漕ぐ事で、島の海人としての大事な心をつないでいるのだそうです。
そして・・・
2020年6月24日、身内だけが集まり見守る中、神々へ捧ぐ儀式は行われました。
私も許可をいただいて見学に行きました。
誰に見せるでもない純粋な島の営みとして舟を漕ぐ海人さんたちの表情には、普段の賑やかなハーリーとはまた違う緊張感が漂い、なんだかとても感動しました。
来年は、きっとまた勇壮で大盛り上がりのレースが復活するでしょう。
私はそれを楽しみに、美味しい島のお魚をありがたくいただいて、コロナに負けず元気に過ごしていこうと思います!