石垣島の史跡案内 川平の御嶽

川平(かびら)に住んでいるFuyuです。川平には御嶽(うたき/おん)がいっぱいあって、気になっていました。川平中心部にある4つの御嶽について調べてみました。その間、ほかのパワースポットにも出会ったりして、そちらも少し調べました。

「川平観音堂」は、川平公園の中央にあるので、だれでも気が付きますが、そのすぐ裏にある浜崎御嶽に気付く人はまずいません。底地御嶽も、目立つのは鳥居だけで、長―い底地ビーチのなかでも人の少ない湾の中央部にあって、あんまり気づかれません。それらの御嶽は、一般の観光客の皆さんは立ち入ることが許されないのです。内地の常識からは想像できないことですが、神に仕える神人以外は入れません。例えば宮古島の漲水御嶽は、観光客でも自由に立ち入ることができますが、そういうところは例外だと思ってください。

最近では、多くの聖地に「立入禁止」の札が立ててあります。内地からの観光客が、悪気なく禁足の地に足を踏み入れてしまわないための親切です。「立入禁止」の札がなくても、御嶽には絶対に立ち入らないようにしましょう。でないと祟りを受けることになります。怖いですよ。

 

川平の御嶽

 

川平では、不思議なことに川平観音堂・浜崎御嶽⇒赤イロ目宮鳥御嶽⇒山川御嶽⇒群星御嶽⇒底地御嶽と御嶽が一直線に並んでいます。そのうち赤イロ目宮鳥御嶽・群星御嶽・山川御嶽・浜崎御嶽は川平四嶽と呼ばれています。

四つの御嶽にはそれぞれ畳6畳ぐらいの大きさの「拝殿」があり、その奥に石垣で仕切られたイビ(ウブ)という香炉を置かれた区画があります。石垣の奥(イビ)には女性の神人以外は入れません。それぞれの御嶽に一人ずつのツカサ(女性神人)がおり、その御嶽の由来にかかわる家系の女性が選ばれます。選ばれる方法は籤によりますが、その場に参加する人々は、それぞれ不思議な経験を語り、神の意志を感じるといいます。川平の住人は四つの御嶽のうち一つに属しています。四つの御嶽のほかに、川平の西の端に、「拝殿」のない御嶽、「底地御嶽」があります。

これらの御嶽では「川平の三大祭」と言われる、豊年祭、結願祭、節祭が行われます。川平の多くの人が参加する大規模の儀礼です。

川平観音堂と底地御嶽は別のページで報告します。

川平湾の駐車場周辺にはトイレ、自動販売機、食堂、商店などがそろっています。

 

浜崎御嶽(ハマサキオン)

まず、浜崎御嶽です。川平観音堂の裏の砂浜にあります。船がたくさん泊まっている浜の、木々の中に鳥居と建物があります。私が訪ねた時には、ロープなどで厳重にブロックされていたので、簡単には見つかりませんでした。<地図

昔、川平の港に、博愛心にとんだ娘さんがおり、風待ちの船乗りのためのお世話をしたり、祈願をしたりと、かいがいしく尽くしていたといいます。そのことが琉球王府に聞こえることになり、「香炉」が贈られました。それを祀ったのが「浜崎御嶽」のはじまりということです。

 

赤イロ目宮鳥御嶽(アカイロメミヤトリオン)

川平観音堂から西へバス通りを上がったところ。バス停でいうと「川平公園前」のとなり、「川平ロータリー」にあります。川平村の雨乞いや結願祭が行われる大事な場所です。私がはじめて川平に来た時、「まずは地元の神様にご挨拶をしなきゃ」と思って来たのですが、鳥居の横に「立入禁止」の札がありました。鳥居のあるところは神社だろうと思ったのですが、違ったようです。ここは「御嶽」でした。石垣島には「神社」はいくつもありません。鳥居があれば、そのほぼ全部が御嶽です。それらは原則的に、一般人立ち入り禁止です。皆さんも気をつけてくださいね。<地図

ここは旧暦6月の豊年祭の時、夕方からの「ピッチュル石担ぎ」という俵型の約60kgある石を担ぎ歩く儀式が有名で、この石が重い年ほど豊年であると言い伝えられています。

赤イロ目宮鳥御嶽の由来

 

昔、農耕地を巡回して、逃げた牛馬の有無や農地の荒らされていないかなど、毎月石垣村の宮鳥御嶽のツカサに報告する役職の人がいました。でも、川平から石垣への道のりがとても険しかったので、宮鳥御嶽の分神を川平に勧請したということです。

 

山川御嶽(ヤマオン)

「川平ロータリー」から「底地ビーチ」へ向かう道の途中、右に「川平貝塚」左に「山川御嶽」があります。

「山川御嶽」は、猪害防止の祈願である「石払い」が行われる御嶽です。<地図

 

山川御嶽の由来

 

昔、琉球王府に挨拶に行き、途中で暴風にあい漂流した村民が、宮古島の山川部落に漂着して大変世話になりました。そこで山川の御嶽に航海安全を祈願したところ、風も収まり、無事任を終えることが出来ました。それを神に感謝して分神を賜って村に持ち帰ったそうです。この御嶽の香炉は宮古島の方角に向いて置かれているということです。

 

川平貝塚

山川御嶽の向かいの川平貝塚も、一般の人が持っている貝塚のイメージとは違い、聖地であるようです。ここも一般の人の立ち入りは許されていません。すでに考古学的な発掘調査は終えているそうですが、埋め戻されています。<地図

 

群星御嶽(ムリブシオン)

川平貝塚から横に入る道を進むと群星御嶽に至ります。特別に広い御嶽です。<地図

ここは旧暦6月の豊年祭(プーリィ)で五穀豊穣を神に感謝する会場になります。

「群星」とは「すばる」のことです。川平村の始まりの家の娘さんが、夜中に天頂の「群星」と地上を細長い霊火が行き来しているのを見ました。「それは神様の天降りだろう」ということで、その場所に御嶽を立てた、とのことです。

 

川平火番盛

 

群星御嶽の裏に「川平火番盛」があります。琉球王府により運営された、烽火台兼、海上交通の監視所でした。石垣島の「火番盛」はここのほかに「平久保遠見台」があり、「川平火番盛」は「平久保遠見台」と「石垣」の蔵元との間に位置します。

川平火番盛も川平貝塚と同様、聖地の一部であるため一般の人の立ち入りは許されていません。ともに、遠方からはきれいな三角形の丘として見えます。

川平のパワースポットは、狭い土地に密集していて、知らず知らず禁断の土地に足を踏み入れてしまいそうになります。そこで、御嶽を見分ける方法を書いておきます。

一つ、御嶽の特徴は「鳥居」が建てられていることが多いこと。逆の言い方をすれば、鳥居があったからって神社だと思って入っちゃダメってことです。

二つ、ひと気がないのに下草がきれいに整えられていること。

三つ、周辺の木々が大変密生していること。見栄えを気にしてむやみに枝を払ったりしないからです。

以上、よその土地から来た人も、土地の神々に敬意を払って歩きましょう。

 

アクセス

バスターミナルからは「川平リゾート線」1~2時間に1本 所要50分ほど。往復1,500円ほどかかります。1日乗り放題チケット1,000円が便利です。空港からは1日数本です。バスターミナル乗り換えがお勧め。

レンタカーが便利です。駐車場も真夏でない限り十分にあります。

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