こんにちは。石垣島在住の小石です。
日本では石垣島や西表島などの八重山諸島でのみ生息しているカンムリワシという鳥を知っていますか?
島の生態系のトップに君臨している鳥なんですよ。
国の特別天然記念物に指定されています。
でも、環境省レッドリストでは“絶滅危惧種ⅠA類”という、ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高いというランクに位置付けられた希少野生動物です。
1 カンムリワシとは
タカ科カンムリワシ属の鳥です。
全長52cm、体重800gほどの小柄なワシです。羽を広げた翼開長は110cmほどになります。幼鳥も成鳥も大きさはほとんど同じです。
胸の羽毛の白いのが幼鳥で、2年ぐらい経つ灰色や褐色となります。3年経つと成鳥となると言われています。薄いレモン色だった目の色(虹彩)は、成鳥になると黄色になります。
後頭部に、長めの白い毛の混じった「冠羽(かんう)」という毛が生えています。この毛は、怒ったり驚いたりした時に立ちます。この頭頂部に立った毛が、冠のように見えることからカンムリワシと名付けられました。
「フィィー」「フィフィフィフィー」と、とても通る声で鳴きます。
2 カンムリワシは石垣島のどこにいるの?
カンムリワシは、水田やマングローブなどの湿地、森、草地が揃っている場所に生息しています。
食べ物は、昆虫から両生類、爬虫類、カニなどの甲殻類までなんでも食べます。とくにヘビやカエルが好物です。
子育てしながら生息しやすく好物の餌も多い場所として、石垣島の中部から北部は、カンムリワシにとって好条件の立地です。
空港から玉取崎展望台への途中にある伊野田地域は、カンムリワシが近くでみることができる可能性の高いスポットです。
小学校や家の塀に留まっていたりします。電柱の上から獲物が通りかかるのを待ち伏せしている姿も見られます。
於茂登トンネルの付近にも多く生息しています。トンネルを抜けると、すぐ目の前をカンムリワシが横切ることもあり得るので、車のスピード出し過ぎには注意してください。
名蔵から崎枝にかけても、多くのカンムリワシが見られているスポットです。
国際農林水産業研究センターの周辺にも多く生息しています。
石垣やいま村には、怪我をして野生に復帰できないと保護されたカンムリワシが飼育されています。
3 カンムリワシとの交通事故
カンムリワシがよく見られている場所は、カンムリワシとの交通事故がよく起こっている場所でもあります。
2020年は石垣島で5件、西表島で5件、2019年は石垣島で11件、西表島で3件の交通事故が報告されています。報告されていない事故も含めたら、どれだけのカンムリワシが人災で命を失っているのでしょうか。
事故の原因の多くは、スピードの出し過ぎによるものです。石垣島の道路の速度制限は時速40キロです。この速度であったなら、カンムリワシが飛んできても避けることができます。また、もしぶつかってっしまっても、被害は小さくてすみます。
カンムリワシだけではなく、アカショウビンやシロハラクイナなど、石垣島では、道路を横断する鳥が多くいます。スピードの出し過ぎは控え、鳥を見かけたら減速して運転してくださいね。
私もつい先日、運転中にフロントグラスの目の前を、アカショウビンが通過しました。対向車線の車とすれ違った瞬間の出来事で、飛んでいることに気付くことができず、危うくぶつかるところでした。
次の日には、カンムリワシの低空飛行に遭遇し、急いで減速しました。
逢いたくてもなかなか会えない貴重な鳥たちですが、運転中など逢ったら危険という時に出逢ってしまうこともあります。
もし、事故に逢ってしまったカンムリワシを見つけたら、環境省石垣自然保護官事務所:TEL0980-87-4768、もしくは石垣市教育委員会文化財課:TEL0980-83-7269に電話してください。
八重山では、「あやぱに」と呼ばれ、「鷲ぬ鳥節」という祝い唄にも登場するカンムリワシ。絶滅させることなく、石垣島の未来と共に飛翔し続ける鳥であってほしいですよね。