石垣の夏の到来を知らせる一大イベント「ハーリー」。毎年旧暦5月4日(ユッカヌヒ = よっかの日、2025年は5月30日にあたる)に、石垣島をはじめとする八重山諸島の各地で行われるこの伝統行事は、海の神様に豊漁と航海の安全を祈願する重要なお祭りです。
何日も前から集まって練習を重ね、みんなで力を合わせて海に漕ぎ出す。石垣島が一つになったようなエネルギッシュでパワフルなハーリーでは、漕ぎ手も観客もみんな声を合わせて盛り上がります。
今回は、各地で行われるハーリーの中でも大きな規模で行われた、石垣漁港の「石垣市爬龍船(はりゅうせん)競漕大会」に行ってきた様子をご紹介します。2025年が119回目の開催となる大きな大会です。この記事を読んだら、次はぜひ現地でハーリーを観戦してください!
静かな漁港がこの日ばかりは大にぎわい!
普段は散歩する人がちらほらいるだけの、穏やかな石垣漁港。ですがこの日は朝8時から開会するハーリーのために、早朝から関係者やキッチンカーが出入りし、広い特設駐車場も開会時には満車になるほど多くの観客が詰めかけました。暑い日差しにも関わらず、少しでもいい場所で観戦しようと、テントの中だけでなく岸にもたくさんの人が集まっています。
ハーリーはどんな行事?

ハーリーとは爬龍船(はりゅうせん)競漕のことで、爬龍船=サバニ舟での船漕ぎ競争を指します。サバニは沖縄や周辺の島々で古くから使われていた船で、海の潮で錆びる釘などの鉄の部品を使わず、木材や竹だけで造られた木造帆船です。1つのサバニ舟に10名の選手が乗り込み、エークと呼ばれる櫂(かい)でタイミングを合わせて漕ぎ、海をかき分け進むスピードを競います。
本ハーリーの競技内容は3種目!

ハーリーの大まかな流れは、爬龍船が漁港に集結する「舟揃え(スネー)」で開幕し、漁業関係者による3種目の本ハーリーが行われるというものです。本ハーリーは「御願(うがん)ハーリー」、「転覆ハーリー」、「上がりハーリー」の3競技。御願ハーリーは片道400mのコースを3往復し、神様に祈りを捧げるレースです。転覆ハーリーでは2往復する間にわざと船をひっくり返して転覆させ、起こして乗り込み、再び漕ぎ進むトータルのスピードを競います。上がりハーリーでは、コースを3往復して最速の船を決定します。

「石垣島の魂のレース「ハーリー(海神祭)」を観戦!【後編】」では、規模の大きい石垣市爬龍船競漕大会ならではのレースの紹介や、会場の様子、ハーリーの日時や開催場所などについてご紹介していきます。